- はじめまして!
埼玉県久喜市の菖蒲町で農業をやっています、押田です。
普段は会社員として働き、休みの日の時間は全て農業に捧げています。 -
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農業を始めたきっかけ
- 元々両親が米農家を営んでおり、その両親が高齢になってしまったことから手伝うようになったのがきっかけです。初めは作業としてなんとなく手伝っていましたが、手伝っているうちに気付いたことがありました。それは”自分が小学生の時に見ていた景色がない”ということです。
春に可愛いアオガエルのオタマジャクシがいないのはなぜ?
夏の夜にあふれる光の蛍がいないのはなぜ?
秋に飛び回るイナゴがいないのはなぜ?
冬の土にミミズがいないのはなぜ?
当たり前のように生命が溢れていた土地はどこにもなくなっていました。
このままでいいのだろうか?
そんな疑問の積み重ねからいつしか自分の心の奥底の灯に火が灯るのを感じました。 -
- ▲私の幼少期の田園風景
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自分流の農業が確立されるまで
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何も知らなかった数年前
- 米作り素人だった私は基礎を学ぶため、とある講習に参加しました。
するとびっくり。農薬の専門家たちが次々に話す講習でした。
私はなぜ自分の見ていた景色がなくなってしまったのかわかった気がしました。 - そんな中で目に留まったのが”土づくりアドバイザー”の資格です。サステナブルな農業には土づくりが大切であるという考え方に共感しました。またこの資格とともに埼玉県に”エコファーマー申請”を行い、自分でやりたい農業を見つけることができました。
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化学肥料を使わずたい肥で育てる
- たい肥で育てようとしたときに、どこからたい肥を集めるかが課題となりました。
まず身近なところで、実家の”防風林”に着目しました。
皆さん防風林はご存じでしょうか? -
- ▲実際の防風林の様子
- 埼玉の古くからの農家では冬の間に赤城おろしという強烈な北西の風が吹きつけるために、かなりしっかりとした防風林に囲まれています。
2~3年に1度、防風林の剪定を行うのですがその剪定枝、落ち葉は田畑で乾燥させ燃やしてしまっていました。それがもったいなく感じ自分の農業のたい肥として使うことにしたのです。 -
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たい肥ができるまでの循環図
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- この循環は、最初に知ったときとても感動しました。これを機に化学肥料を使用せず、たい肥のみでお米を作ろうという決意ができたといっても過言ではありません。
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たい肥でご協力いただくパートナー作り
- たい肥だけでお米を栽培するには、一般的に一反(10a)で約1.5~2tのたい肥が必要となります。当然防風林の剪定枝、落ち葉だけでは足りません。
ご協力いただけるパートナーを探し始めました。 -
ご協力いただいているパートナー①
- 一番初めにお声がけしたのが、公園でした。大量の落ち葉を産廃処理していたため、譲っていただくことにしました。
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ご協力いただいているパートナー②
- 近隣の梨農家さんにもお声がけしました。久喜市菖蒲町は梨農園が多数あります。
梨の木は冬の間に枝を剪定することで効率的に実のなる枝だけを残して美味しくて大きな梨の収穫を目指すのです。通常はこの剪定枝を乾燥させて燃やすところを譲っていただいています。
譲り受けたあとは細かいチップとしてたい肥の材料とすることで少ないながらもCO2削減に取り組んでいます。 -
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ご協力いただいているパートナー③
- 発酵温浴事業を営まれている『nifu目黒店』様から使用済みの檜のおがくずをいただいています。
もともとnifuさまは奈良県の檜で有名な吉野地方の林業にも取り組み、檜を育てて、そのおがくずを活用して発酵温浴事業を行っています。このおがくずを産廃として廃棄せず、貴重な有機物として農家に提供してくださっています。nifu様とは~がきっかけで知り合うことができました。 -
- ▲nifu様のおがくず写真
- 【nifu目黒店オーナー様 応援メッセージ】
発酵温浴nifuという温浴施設を目黒で運営しております。その発酵温浴で使用しているのが、奈良県吉野産のヒノキのオガクズです。そちらにヒノキの枝や葉を含む林地残材や、米糠を混ぜ、好気性発酵させています。20日間ほど使用し役目を終えたものを、堆肥作りや土壌改良材の資材として押田さんにご提供しております。吉野の森から始まる循環活動に、押田様に参加いただけることに大変喜びを感じています。 -
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ご協力いただいているパートナー④
- コンポスト事業を行われている『ローカルフードサイクリング』様です。
家庭の台所から出る野菜の切りくずや食べ残しなどの生ゴミからたい肥をつくるコンポストバッグを開発しています。家庭の生ごみを数か月かけてたい肥化したものを農家へ提供してくださっています。 -
- ▲LFCコンポスト写真イメージ
- 【ローカルフードサイクリング 代表者様 応援メッセージ】
食べたものの残り物や、調理ででる生ごみ。これを微生物の食べてもらい、育て根っこが吸収しやすいかたちにして植物のごはん(堆肥)に変えています。押田さんにはこれを活用して丁寧に美味しいお米に育ててもらっています。生ごみ堆肥をつくる有志、LFCコンポストで輪をつなげて持続可能な栄養の循環をつくっています。
是非皆さまにもさまざまな形でこの「食べる循環活動」に参加・応援していただきたいです。 -
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このような形で皆さまのお力をお借りしながら、化学肥料を使わずにたい肥のみで美味しいお米づくりにチャレンジしています。ここ数年で、減農薬も含めてようやく自信をもってみなさまにご紹介できるお米ができたと思っています。 -
自然由来の肥料だけで作った『てまひま米』
- 今回リターン品としてお出しする『てまひま米』は、自分の渾身の作品でもあります。
私は均質な工業製品のようなお米は作ろうと思っていません。冬の間から土と対話しながら土づくりを行い、その年の気温や天候、虫たちなどの発生に合わせながら栽培をしていくことを目指しています。てまひま米はそんな米作りから、時間をかける作業をいとわず「てま」「ひま」をかける事でより自然の風味を感じられるお米に仕上げています。
自然の力で作ったたい肥だけで栽培することで、舌触りや食味が良く、みずみずしい優しい味わいのお米となっています。ぜひご賞味いただきたいです。 -
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最後に皆さまへ
- 埼玉県久喜市での本当に小さな循環の取り組みですが、皆さまに知ってもらい応援をしていただければありがたいです。私の両親だけでなく、日本の農業経営は厳しい環境下で担い手の高齢化が進んでおり、大きな変革を必要としています。
大規模効率化か、徹底的な差別化か?
どちらも正解なんだと思います。
私は、”美味しくて安心なお米をお届けすること”だけでなく、昔自分が見ていた生命のあふれる田んぼ作りをして、子供たちに春夏秋冬の生命の息吹を伝えること。そんな農家を目指していきたいと考えています。
ぜひたくさんのご支援お待ちしております。 -