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私たちについて
- こんにちは。さいたま百景選定市民委員会です。
私たちは2007年4月に「さいたま百景」の選定を目指し、さいたま市景観表彰委員が中心となって発足した、市民有志による任意団体です。公的な機関の関わりはなく、完全に民間ベースで活動を続けています。 -
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今回クラウドファンディングに挑戦する理由
- 私たちは今回、2度目の出版にチャレンジします。
初めて書籍を出版したのは、14年前。2年半の議論と作業を経て、「市民が選んだ さいたま百景」を出版しました。この時は、助成金のほか、出版社や地元在住の個人や企業など、さまざまな協力を頂き、出版にこぎ着けました。
あれから14年経ち、新しい視点による「明日に引き継ぐ さいたま百景」の出版に向けて、5年近くの検討と編集作業を進めています。
14年間で、社会環境は大きく変わりました。経済環境の変化に伴い助成金は縮小し、出版にかかる費用は以前よりもかなり高くなりました。
このような状況下、私たちは2度目の出版に当たり、新たなチャレンジとして、クラウドファンディングによる後押しを得た出版に挑戦します。 -
最初の「さいたま百景」の軌跡
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「さいたま市らしさ」とは?
- さいたま市は、2001年に旧大宮市、旧与野市、旧浦和市が合併し、その後、2003年に岩槻市が加わってできた、新しい市です。
それまで、旧市では長い歴史の中で、それぞれの地域としてのアイデンティティが築かれ、育まれてきました。しかし、「さいたま市」という全く新しい枠組みになったとき、それぞれの旧市での「らしさ」は分かるものの、全市的に見た「さいたま市らしさ」というのは、誰にも分からない状況にありました。
そこで、市民の自由な視点から、さいたま市の風景をさまざまな視点から評価し、「さいたま市らしさ」の源泉を探り、市民に広く提示していくために、さいたま百景を選定しようと考え、活動を始めました。 -
最初の百景選定のプロセス
- わたしたちが「らしさ」を見つけるためにこだわったのは、その風景が重要だと思われる理由、つまり風景の向こう側に見えるものをしっかりと評価することです。最初の百景の選定では、まず百景の候補を広く市民に募集しました。これら応募のあった風景を元に、並行して市内各所の風景を探索する「巡回委員会」イベントを開催。1度に十数キロを歩くこともあるくこともありました。四季を巡りながら、ほぼ各区を網羅的に歩き、合計11回の巡回委員会を行う中で、応募のあった風景の向こう側に見えるものを記録しました。こうした結果、2008年の募集終了時には、456点の風景が寄せられました。
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良くも悪くも「らしさ」である
- 2009年1月からの選定作業では、まず、全風景を十のカテゴリーに分類。コレまで市内各所を見てきた経験から、六つの評価軸を設定し、各候補について評価を行いました。この評価結果を考慮しながら候補を絞り込みました。選定に当たっては、評価の値を絶対値とはせず、経験的に良い風景も、景観的には悪い風景でもさいたま市"らしさ"を表しているものであれば対象に含めるようにしました。そして、最後に全分類を見渡して調整を行った上で、2009年に百景を選定・発表しました。
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初のさいたま百景本の出版
- 選定された百景は、パネルにして市内各所での展示などを行いました。並行して、出版のための編集作業を進め、2010年11月に、最初のさいたま百景本となる「市民が選んだ さいたま百景」を出版しました。
書籍は、単なる風景写真集ではなく、その風景が今そこに存在する理由を、歴史、文化、風土、地理、経済など、さまざまな視点から一景ずつ丁寧に解説しているのが特徴です。
当初、1900部を発行しましたが、瞬く間に残部が少なくなったために、翌年4月には1000部を増刷しました。当時、NHKの番組「ブラタモリ」など地域を探訪する番組が人気を集め始め、人々の目が地域に向き始めたタイミングだったことも、注目された要因だったのかもしれません。 -
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さいたま百景「2.0」へ
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次のさいたま百景へ始動
- 2010年の出版の後、私たちは百景に選定された場所の「その後」を確認しつつ、選から漏れている風景がないか確認する作業も兼ねて、一般に参加可能な形で「巡回ツアー」を年2~3回のペースで続けました。その時に確認した成果は、地域毎に推奨コースとともにマップにまとめて印刷し、2016年にはこれらをまとめたマップ集を発行しました。
巡回ツアーで市内各地を歩く中で、多くの風景が変化し、場所によっては消滅していることを確認したことから、2018年から新しいさいたま百景の選定に向けた活動をスタートしました。 -
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新百景は「未来への道しるべ」
- 当初、委員会では街の変化に伴い百景のアップデートが必要であると考えていました。しかし、コロナ禍で社会の在り方や価値観が変化していることを目の当たりとする中で、方針を変更。全く新しい視点で、さいたま百景を選定し直すこととしました。
コロナ禍のオンラインでの議論などを繰り返す中で、新しい百景の役割を以下のように設定しました。
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21世紀の半ばに近付きつつある現在、今後の気候変動、人口減少と超高齢化、国際化、経済の成熟、働き方の変化等が進む中で、例えば2050年のさいたま市に向けて引き継ぎ、育てていくべき特に大事な風景を選定して紹介することにある。それらを若い世代を含めた市民で共有し、まちづくりの活かしていくことを目指す。
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「明日に引き継ぐ さいたま百景」の構成
- 新しいコンセプトの設定に伴い、新百景本のタイトルは「明日に引き継ぐ さいたま百景」に決定しました。
巡回ツアーなどのイベントを通して感じた、風景の見方や評価の仕方、多様な視点の持ち方や風景の作り方など、未来の風景を作るための道しるべとなるよう、前作とは大きく異なる、以下のような構成としました。
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第1章:風景との対話
1)風景は教えてくれる
2)さいたまの水と地の物語
3)受け継がれる記憶と文化
4)私たちの暮らしが風景となる
第2章:明日に引き継ぐさいたまj百景(風景カタログ)
Aシリーズ.地形と水に関わる風景
Bシリーズ.記憶と文化に関わる風景
Cシリーズ.現代の市民生活の風景
第3章:さいたま百景その後
1)『市民が選んださいたま百景』とは
2)元百景の今
3)さいたま市の景観、環境の変化
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作業の進捗状況
- 現在、編集作業は大詰めを迎えつつあります。今回は3つの章と、風景カタログとして3シリーズのそれぞれの中で明日に引き継ぎたい風景を多数、収めています。このため、写真の整理や風景の背景情報の確認など、膨大な作業を役割分担して進めています。デザインチームとも日々やりとりを繰り返しながら、部分的に完成に近づきつつ、2025年2月の出版に向けて、選定委員会全員で作業をしております。
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リターンの設定について
- 今回のクラウドファンディングでは、リターンとして書籍の送付を基本に、さまざまな選択肢をご用意しました。
2016年に発行した10枚の地図を束ねたマップ集とのセットをご用意しました。
また、2010年発行の最初のさいたま百景は、現在は書店にも在庫がない状況で増刷の予定もありませんが、メンバーが保存していた在庫を集め、新百景とのプレミアムセットをご用意しています。
また、12月までにお申込み頂いた皆さまにつきましては、書籍の巻末に、協力者としてお名前を掲載させていただく予定です。※購入時のアンケート欄で「希望する」「希望しない」をご選択ください。
皆さまのご協力を、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。 -
支援を検討される皆さまへのメッセージ
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さいたま百景選定市民委員会 委員長 相田武史
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- 我田引水ではありますが、この本「明日に引き継ぐさいたま百景」は、内容が充実しており誠にすばらしい出版物が刊行できたと思っております。
2010年11月に出版した「市民が選んださいたま百景」は、2刷りにいたるまで出版を重ね、意義ある出版物として多くの方に親しまれたと思っております。
さいたま市は岩槻市、浦和市、大宮市、与野市の旧4市が合併することによりできた市です。この本の当初の目的は、相互の市民が地域の特徴を知ることによって、さいたま市民としての一体感を醸成することにありました。それは景観を通してまちづくりへの関心を高め、市民参加を活性化させることによって、明日へのより良い都市形成をめざす一助になると考えたからです。
今回の発刊は、前回の本をふまえ、新たな視点で編集にあたりました。この10数年の時の流れを経て、まちも様々な変化を遂げました。風景も変わりました。委員会のメンバーも新しい方が加わり活性化されました。まち歩きや資料集め、コロナ禍期間中のオンラインでの会議など、諸々の出来事を乗り越え、委員会の方々のこの本に対する情熱を感じとった次第です。
この「明日に引き継ぐさいたま百景」が、多くの方々に読まれ、景観に対する意識が高まっていくことを期待したいと思います。とくに、さいたま市民の皆さんには常備薬のごとく各家庭に一冊この本が置かれることを願っております。
さいたま百景選定市民委員会委員長・建築家 相田武文 -