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白岡市大山地区の梨
- 埼玉県白岡市における梨生産は明治36年から始まり120年以上の歴史があります。その後拡大を続け、今では埼玉県内有数の収穫量を誇る市の特産品になっています。市内の梨農家が長きにわたり培ってきた高い栽培技術により生産され、消費者の皆さまから甘くて美味しいという多数のお声をいただいています。
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梨栽培の衰退と再起
- 最盛期には市内で100ヘクタール(東京ドーム約20個分)以上あると言われた生産面積も時代の変化、後継者不足から今では7分の1以下にまで規模縮小をしています。
梨は果樹の中で最も人手がかかると言われており、技術継承の難しさが一つの要因となっています。
春の受粉作業では一つの芽から7個程度の花が咲きますが、美味しい梨を作るためには3~5番目の花に受粉する必要があります。そのためひとつひとつ手作業で受粉作業を行っています。
夏の摘果・新梢管理では実が小さいうちから形を見極めながら果実の数量制限をかけ、同時に光合成効率を良くするために葉や枝の整理をします。
冬の剪定作業では、実をとるための枝の更新をすべく、パズルゲームの如く3年後の姿を想像しながら樹全体の形を整えていきます。
私たちは2022年から梨生産に新規参入し、近隣の篤農家の方々や県の指導員、試験場の方々から技術指導を受け、市の名産品としての梨生産を再起する一因になりたいと考えています。 -
埼玉生産限定品種”彩玉梨”
- 「彩玉」は、県農林総合研究センター園芸研究所(現:埼玉県農業技術研究センター久喜試験場)で育成した埼玉県のオリジナル品種です。
昭和59年に「新高(にいたか)」と「豊水(ほうすい)」を交配し、選抜を重ねて育成した新品種で、平成17年2月、農林水産省に品種登録されました。
大玉(約550g)でジューシー、「幸水」以上に甘い(糖度13から14)梨です。「幸水」が終了する8月中旬から下旬頃が収穫期です。 -
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第3回全国梨選手権を総なめ
- 2024年9月11日に開催された第3回全国梨選手権では最高金賞~銅賞の上位7賞のうち、埼玉県の生産者が5賞を受賞、そのうち4賞が彩玉梨を出品しての受賞となっています。私たちアルファイノベーションは、「しずく」というブランド名で彩玉梨を出品し、銅賞を受賞しました。
全国梨選手権は全国各地の産地から届いた26品の梨の中から、評価員である野菜ソムリエが商品名や産地、生産者情報などをすべて伏せて食味。そのおいしさを審査し、評価員全員の合計点数によって決定されています。 -
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私たちのご紹介
- 私たちアルファイノベーション(株)は埼玉県白岡市で2011年から農業生産をしている法人です。創業からネギを専門に生産し白岡市を中心に32ヘクタール(東京ドーム約6個分)の耕作をしています。
過去10年間、市内の梨畑の樹が切られていくのを横目に見ながら、ネギの生産として規模拡大をさせていただいました。地域の方々や行政の方から「ネギばかり作ってないで梨も作ってよ」とお声をいただいていましたが、梨は新しく植えてから実が取れるようになるまで5年、十分な量が取れるようになるのは10年かかると言われており、なかなか踏み出せずにいました。 -
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梨生産開始への決意
- 2022年時点で白岡市内の梨生産面積は20ヘクタールを下回り、いよいよ一世を風靡した地域文化が風前の灯火であると聞かされました。
そんな折、ネギの販売でお取引のある量販店様から「白岡の、大山地区の梨が欲しいんだ!全量買い上げるからアルファで作ろうよ!」と熱いメッセージをいただき、この地域のブランド力・品質の高さ・需要の高さを実感し、梨栽培への新規参入を決意しました。 -
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私たちの梨づくり
- 2022年時点でお借りした梨畑は樹齢35年を超える老木でしたが、この梨畑でまずは剪定から受粉、摘果、新梢管理、収穫まで1年間の作業を通じ、栽培技術と作業と大変さを勉強させていただきました。地域の篤農家の方々や県の指導員、試験場の方から指導をいただき、日々努力しています。
また、長年のネギ生産で培ったノウハウを社内勉強会として共有し、土づくりや土壌環境、微生物の有効利用や植物におけるアミノ酸の働きなど、農業基礎技術として有効活用しています。 -
低樹高ジョイント栽培V字樹形
- 新規参入と同時に従来の生産方式だけではなく、ジョイント栽培V字樹形と呼ばれる省力化技術を駆使した栽培方法に取り組んでいます。
従来は1本の樹から3~4本の背骨となる主枝を作り、1000㎡あたり約20本の樹を植えていくことになりますが、低樹高ジョイント栽培では高さ90cm程度で曲げて主枝を作り、2m間隔で樹を植えて、それぞれを接ぎ木して1列の樹に仕立てていきます。
従来の作業より50%近く作業軽減ができ、人手のかかる作業の軽減を図ることで面積拡大をしやすくなっています。 -
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自社製造のぼかし肥料とIPM実践型防除体系
- 日本梨は、その甘さとみずみずしさが特徴の果物です。当社では、梨本来のおいしさを追求しながら、環境にやさしい持続可能な栽培方法を実践しています。
【肥料へのこだわり】
梨の樹が健康に育つために、光合成効率を最大化し、基肥や追肥で窒素分を適切にコントロールしています。
一般的な化学合成肥料は、樹が窒素をアミノ酸として利用する際に多くのエネルギーを必要としますが、当社では独自の肥料を自社製造しています。この肥料は、米ぬか・魚粕・糖蜜を混ぜ、微生物による発酵を促進させたものでぼかし肥料と呼ばれ、アミノ酸や有用微生物を豊富に含んでいます。
この肥料を使用することで、樹への負担を軽減し、梨の品質向上を目指しています。
【病害虫への対応】
病害虫の予防・対応には月3回の農薬散布が必要とされますが、当社ではできる限り農薬散布量を減らす努力をしています。具体的には、IPM(総合的病害虫管理)実践型防除体系を取り入れ、安心安全な梨づくりに取り組んでいます。
※IPMとは、化学的な防除法だけでなく、物理的な手法や生物的な手法などを組み合わせ、化学農薬の量を減らしながら病害虫や雑草の増加を抑える取り組みのことです。
特に、梨の葉をかじる「ハダニ」という害虫を抑えるため、ハダニの天敵である「カブリダニ」が活躍できる環境を整えています。そのために、園内の下草を一定程度残し、「オオバコ」という草をあえて増やす工夫をしています。
これにより、カブリダニが生息しやすい生態系を維持しつつ、化学農薬の使用を抑えた環境配慮型の栽培を実現しています。 -
日本一の梨生産を目指して
- どうせやるなら日本一を目指そうが当社代表の想いです。
生産量では千葉県などの大きな産地がありますが、ジョイント栽培の面積なら一番、品質なら一番、彩玉梨の生産量なら一番、と目標設定をスケールダウンしながら、それぞれで日本一を目指し、その結果、白岡市大山地区の梨文化が再び盛り上がって、注目されるような取り組みにしたいと思っています。 -
畑で廃棄されてしまう梨の活用
- 梨の栽培についてご紹介してきましたが、どうしても栽培過程で果実として販売できるものばかりではなく、小玉や変形果ができてしまうのが実情です。これらの果実は畑で廃棄されてしまうのが通常ですが、せっかく食味の優れる彩玉梨を一生懸命栽培して、一部棄ててしまうのは勿体ないですし、何より埼玉の梨の美味しさ、彩玉のブランドをもっともっと多くの方に知ってもらい、季節を問わず楽しんでいただきたいと考えました。
そこで彩玉梨を加工し、何度も何度も試作し、洋菓子として販売させていただくことにしました。
今回クラウドファンディングに挑戦させていただき、多くの方が埼玉の銘品として手土産や贈り物として活用してもらえるような商品に育てたいと思っています。 -
彩玉梨の洋菓子セットのご紹介
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彩玉梨のパウンドケーキ
- パウンドケーキの1/4が彩玉梨で出来ています。彩玉をサイノメにカットしてからソテーし、彩玉のピューレ、彩玉のジャムと合わせて煮詰めています。梨の甘味と風味を最大限引き出したものを生地に加えて焼き上げました。一般的なパウンドケーキは小麦粉・卵・砂糖が均等に配合されますが、本品は砂糖を控えめにしています。
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彩玉梨のフィナンシェ
- バターたっぷりの生地に彩玉のピューレを加えて甘味を引き立てています。サイノメにカットした彩玉をキャラメリゼして、焼き上げの途中でトッピングし、食感と風味のバランスを整えながら焼き上げました。
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彩玉梨のプチガトー
- アーモンドを練りこんだ焼き菓子です。サイノメにカットした彩玉を透明になるまでソテーし、アーモンドの風味と彩玉の味わいを引き立てながら焼き上げました。
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IBUSHIGIN限定コンビセット
- クラウドファンディングで白岡の梨、当社の取り組みを知っていただく折角の機会なので、”彩玉梨”自体も数量限定ではありますが、ご用意させていただきました。
玉数5~6玉入り(3kg箱)でのご用意ですので、少人数の家族の方でもご利用いただきやすい玉数となっています。 -
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クラウドファンディングを経て
- 今回皆さんに彩玉梨を美味しさを知っていただき、洋菓子シリーズとしても味わっていただいた先、アップルパイのような彩玉梨パイや彩玉梨を扇状に並べたタルトなどの開発も進めていきたいと考えています。例えば冷凍ケーキのようにご自宅で解凍して、クリスマスやお誕生日に使っていただけるような、そんな特別な商品にしていけたらなと思います。
このページを通して、少しでも彩玉梨の魅力や白岡市の梨栽培の文化、私たちの想いが伝わっていたら、何よりうれしく思います。
最後までご覧いただきましてありがとうございました!