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はじめに
- はじめまして。
埼玉県熊谷市で、江戸時代より170年以上酒造りを続けております「権田酒造」の常務権田拓弥と申します。
この度は私たちのクラウドファンディングページをご覧いただきありがとうございます。
当蔵は、家族4人で営む小さな酒蔵です。
6代目である父が社長、母が接客や裏方として縁の下の力持ち的に支えてくれ、7代目となる兄が杜氏、そして私が運営管理を担っております。
現在は兄と私の兄弟ふたりを中心に、日々、酒造りに時間と手間を惜しまず励んでいます。 -
- 権田酒造のお酒の大きな特徴は、いまでは全国的に行っている蔵が減少している、伝統的な搾りの技法【槽搾り(ふねしぼり)】 です。
槽に酒袋を手で積み重ね、ゆっくりと自然に酒を引き出すこの方法は、人の手と感覚に委ねられる、繊細で丁寧な搾り方であり、お酒にそれぞれの蔵の個性を感じることができます。
私たちはすべてのお酒をこの槽搾りで搾っておりますが、私たちのような酒蔵は、今では本当にわずかとなっております。
今回のクラウドファンディングでは、この槽搾りで搾った権田酒造のお酒の魅力を知っていただきたく、2本のお酒を中心としてリターンをご用意しました。 - ひとつは、2002年に搾り20余年の熟成を重ねた大吟醸の『熟成酒』です。
雑味が少なく、香りが穏やかに保つことができる槽搾りだからこそ、20年以上の熟成にも耐え、やさしく深い味わいに完成しました。
そしてもうひとつは、これから仕込みに着手する『2025年最初に搾る新酒』です。
同じ技で丁寧に搾られた、奥行きのある熟成酒とフレッシュさあふれる新酒を味わい感じていただくことで、槽搾りという技の力をより皆さまにお届けできるかと考えました。
この2本を通じて、槽搾りの味わいの深さ、そして権田酒造という蔵の在り方を知っていただけたら――そんな思いから、今回クラウドファンディングに挑戦しました。
ぜひご支援・応援していただけますと幸いです。
よろしくおねがいします! -
権田酒造について
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- 権田酒造は、江戸末期の創業以来170年以上にわたり、埼玉県熊谷市で酒を醸し続けてきた酒蔵です。
代表銘柄である「直実(なおざね)」は、地元にゆかりのある武将・熊谷次郎直実公にちなんで名付けました。
地域の歴史とともに歩み、地元の方々とのつながりを大切に、酒造りを続けています。
当蔵では私が物心ついた時から、地域の方を呼んだイベントの開催や、地元イベントなどへの積極的な参加を通して、多くの方に「権田酒造のお酒を楽しんでもらう場所づくり」を行っておりました。
そんな日々のなかで、人と人がお酒を通してつながっていく景色を目の当たりにし、私自身も兄とともに家業を継ぐ決意を固めました。 -
- 現在は兄弟ふたりを中心に、目と手の届く距離で蔵を守っています。
兄が杜氏として醸し、私は常務として蔵全体の運営を担いながら、24時間体制で日々の酒造りに真摯に向き合っています。
酒造りは“生き物相手”の仕事のため、温度管理には非常にきめ細やかな対応が必要です。
特に、麹づくりの工程では、1時間おきに様子を確認し、寒ければ布をかけて保温し、熱をもちすぎれば布を外してやさしく混ぜ放熱する――昼夜問わず見守りが欠かせません。
そうして温度や状態を五感でとらえながら、丁寧に仕上げていく。
小さな蔵だからこそできるきめ細やかな酒造りを、これからも大切にしていきたい。
それが、私たち権田酒造の原点であり誇りです。 -
お酒造りへのこだわり~伝統の搾りの技法【槽搾り】~
- 酒造りの工程の1つである「搾り」は、味・香り・余韻――お酒の仕上がりを決めるといっても過言ではない、非常に重要な工程です。
私たち権田酒造では、すべてのお酒を、いまでは珍しくなった『槽搾り』で搾っています。 -
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槽搾りとは
- 現在の一般的な搾り方は、ヤブタ式という、機械式の搾り機を使い、空気圧で圧力をかけしぼる方法です。一気に搾ることで、さっぱりとした印象のお酒ができあがります。
また、短期間(1日程度)で搾ることができるため、効率よく安定した品質のお酒を造れることも特徴です。
一方、「槽搾り」は、もろみ(発酵を終えた酒のもと)を、酒袋に一つずつ詰め、それを槽(ふね)と呼ばれる大きな容器に丁寧に積み重ねていきます。
上からじっくりと圧力をかけ、自然に酒がにじみ出るのを待つ――熟成したもろみを、2〜3日かけてゆっくりと搾っていく技法です。
ヤブタ式のようにスピード・効率には優れておらず、時間も人手も非常にかかる方法です。
その年の米、水、気候、杜氏の判断、空気の揺らぎ、手の感覚――数字では測れないすべてがそのまま反映されるお酒です。
ひとつとして同じ味はなく、その年、その蔵にしかない“個性”が、ゆっくりとにじみ出てきます。
それが、槽搾りの大きな魅力です。 -
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槽搾りで搾ったお酒の特徴
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- ■ 酒の本質を壊さず、澄んだまま引き出す
槽しぼりで搾った酒は、下記のような特徴があります。
✔ 味にコクと奥行きがある
✔ 雑味が少ない
✔ 空気にゆっくり触れることで、香りが穏やかに整い変化の中でも崩れず、 熟成によって旨みと香りが引き立つ
槽搾りは、圧力が極めてゆるやかにかかるため、米の細胞を潰すことなく、もろみの中にある液体成分だけをゆっくりと取り出せるのが特徴です。
お酒にとって自然なかたちで引き出すからこそ、そのお酒が本来持つ味わいがにじみでてくるのです。
このため、雑味の原因となる細かな固形成分(澱)や過剰な脂質・タンパク質が酒に混ざりにくく、香りが損なわれず、雑味の少ないお酒が完成します。
また、搾りの圧が強すぎると現れる「収斂味(しゅうれんみ)」と呼ばれる苦味やえぐみも、槽搾りではほとんど出ないことも特徴です。
■ 熟成に適した搾りの技法
槽搾りで搾られた酒は、搾りたての透明感だけでなく、時間をかけてゆっくりと熟成する力も持ち合わせています。
雑味が少ない分、長く寝かせても香りが崩れにくく、その芯の強さが、時を経ることで深みへと変化していく。
今回お届けする熟成酒がその好例です。
槽搾りで搾ったからこそ、20年以上の眠りを超えて、香りも味も美しく整ったのだと、私たちは確信しています。 -
こだわり続ける理由
- 機械搾りに比べて人も手間もかかる技法で搾り続けているのは、昔ながらの伝統を守りたい━という気持ちに加え、「権田酒造らしいお酒を守り続けたい」ためです。
私たちが考える権田酒造らしさとは、決してスマートなお酒・蔵ではなく、蔵に人が集まりアットホームで温かみ・優しがあること━
槽搾りで醸したお酒は味も香りも優しいことから、このお酒を中心として人が集う、また、食卓の真ん中に置いて家族や友人みんなで囲んで楽しむのにピッタリのお酒であると考えております。
“もう一杯”と手が伸びるような、人と酒、人と人をつなげてくれるような存在になってくれると信じ昔ながらの手法を今なお続けております。 - 「権田酒造らしい」お酒造りを今後も続けたい━そう願って私たちはこれからも、槽搾りで搾り続けていきたいと考えています。
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商品について
- 権田酒造の槽搾りのお酒をお試しいただきたく、『20年熟成した大吟醸』とこれから仕込みを始める『2025年最初に搾る新酒』を主なリターンとしてお届けします。
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20年熟成大吟醸≪Tokyo酒チャレンジ2025 金賞受賞酒≫
- お届けは2025年8月上旬予定(新酒とのセット商品の場合は12月末のお届けとなります)
- IBUSHIGINだけの先行販売です。
蔵で20年余年かけじっくり熟成したこの一本を最初に味わっていただけるのは、ここを訪れてくださった皆さまだけです。 -
- 2002年、槽搾りで丁寧に搾られた一本。
当時の味わいはまだ若く、皆さまにお届けするのは今ではないと判断し、熟成に託すことにしました。
その後は蔵で熟成をさせながら、折に触れて味を確かめ、静かにその変化を見守り続けてきました。
そして20余年の時を経て、深い琥珀色と円熟した味わいは見事に調和し、槽搾り特有の柔らかな余韻が、一本の中にしっかりと詰まっていました。
コクの高さと、ドライフルーツを連想させる熟香が特徴です。
その完成度が評価され、「Tokyo酒チャレンジ2025 古酒部門」にて金賞を受賞した一本です。
熟成酒好きな方はもちろんですが、日本酒は好きだけど熟成酒はまだ試したことがないといった方にもおすすめです。 -
2025年最初に搾る新酒 【クラウドファンディングIBUSHIGIN限定ラベル】~蔵FAN(クラファン)~
- お届けは2025年12月末予定。年末年始をぜひ権田酒造のお酒でお楽しみください。
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- 2025年、一番最初に搾る新酒をお届けします。
このお酒には、特別な名前をつけました。
「蔵FAN(クラファン)」——
“クラ”ウド”ファン”ディング”を通して、より多くの方に権田酒造を知っていただきたい。そして、“蔵のファン”である皆さまと共にこの酒を育てていきたい。そんな想いから生まれた、クラウドファンディングIBUSHIGIN限定ラベルの日本酒です。
さらに今回は、10月以降の仕込みの様子を支援者さま限定で複数回に分けて動画にてお届けします!(IBUSHIGINにご登録のメールアドレス宛に、動画リンクをお送りします)
手間と時間をかけて丁寧に搾り出す「槽搾り」の新酒。
お酒が生まれていく時間、手間、空気ごと、皆さまにお届けしたく考えております。
12月末のお届けまで、ぜひお酒が出来ていく過程を楽しみながらお待ちいただけますと幸いです。 - 新酒の味などは完成してみないと正確なことはお伝えできませんが、槽搾りならではの丁寧な仕上がりと、搾りたてのみずみずしさや清々しさが魅力のお酒をお届けできると考えております。
20年もの熟成酒と比較すると、より優しい口当たり、さわやかさ・フレッシュさ・お米の香りや味を感じでいただける一本になると考えております。
ぜひ熟成酒と新酒を飲み比べていただき、同じ槽搾りでありながら、時間の違いがもたらす味わいの変化を楽しんでいただけますと幸いです。 -
これから目指すもの・最後に
- ここまでページをご覧いただき、本当にありがとうございます。
私たちは兄弟で、それぞれ目指す酒があります。
兄が目指すのは、武士のような酒。質実剛健で潔い、深みのある味わいを持ち、キレがある酒。
弟が目指すのは、どんな場面でも飲みたくなる、皆が笑顔になる酒。日常のささやかな瞬間に寄り添い、喜びを分かち合えるような、親しみやすく温かい酒。
そして二人で目指すのは、「今日は権田の酒で乾杯しようか」そう言ってもらえる存在になることです。
ここ熊谷の地で、地元の方々の誇りになり、その魅力をより多くの方々に届けたいと願っています。
全力を尽くし、信念を持って最高の酒を追求し、私たちが醸し出す一杯が、飲んだ皆さんが語らい、笑い、そして時に深く考えるきっかけをもたらす――それが、権田酒造の目指す未来です。
このページを通して、少しでも私たちの蔵や酒造りへの想いが伝わっていたら、何よりうれしく思います。
最後までご覧いただきましてありがとうございました!